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社団法人 日本植物防疫協会

 Dr.タカギの昆虫知識  −昆虫と天敵の動画−  

No.026
チャバネクロタマゴバチ
(Trissolcus plautiae)
 チャバネクロタマゴバチはチャバネアオカメムシの重要な卵寄生蜂である。この類の蜂はカメムシの卵を発見すると一連の産卵行動をする。
 触角でのタッピングによって、寄主認識及び既に寄生されているかどうかの識別を行ない、その後産卵管の挿入、産卵と進む。寄主卵に産卵を完了した後、産卵管の先端をカメムシの卵殻に沿って円弧を描くように移動しながら動かして、既寄生を標識するためのマーキングを行なう。このようなマークは同種個体間では有効であるが、異種の卵寄生蜂には無効である場合が多い。また同種の場合でも雌の経歴(既に産卵経験のあるものと無いもの、産卵を抑制されていたもの)によってマーカーの効果は異なることも知られている。
 ミナミアオカメムシの卵に対する寄生蜂の研究では、マーカーは化学物質で一種のフェロモンであることが推測されている。チャバネクロタマゴバチのマーキングを観察分析し、またマーキングされたカメムシの卵を走査電子顕微鏡で観察した結果、マーカーは糸状物質で、卵の表面の突起物をつなぎ空中に張られることを確認した。そして、この寄生蜂の雌成虫の触角にはこのような糸を認識するために特殊化したと思われる感覚毛が存在することを認めた。マークは雌成虫のタッピングによって切断され、十数回のタッピングの結果、既寄生の認識が不可能となり重複産卵された例もある。また水や有機溶媒による洗浄は糸を卵の表面に密着させマーカーとしての効果は無効となった。
 これらのことから既産卵を認識するための主な要素は縄張りによる糸であり、触角の感覚刺毛によって認識されることが推測された。糸がフェロモンの担体を兼ねている可能性もある。マーク糸は産卵管の先端に達する毒腺の先端の孔から分泌される。



 

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