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 カメムシ類の雄交尾器の形態は種によって分化が進んでおり、分類上の一つの形質として採用される場合も多い。 Onchopeltus属、Nezara属において最も研究が進んでいる。
 雌雄性器の結合は微妙な形態の差が鍵となっており、交尾器の形態の差が種間の生殖隔離の一つの要因にもなる。したがって、ミナミアオカメムシとアオクサカメムシのように異種間で交尾が成立する現象が見られる場合にも、交尾時間が短く、交尾器が外れることが多く、結果的に精子の移送は行われない。
 従来交尾器の形態的な記載は雄交尾器を取り出し、筋肉や脂肪をとり去った後苛性カリ水溶液で洗い、固定した材料を用いている。 実際の交尾行動では雄の交接器の先端が膨張液の力によって、雌体内に飛び出す形で密着する。従って交尾器の形態を記載する場合先端が飛び出した状態も記録することが非常に有益である。
 チャバネアオカメムシでは交尾器は約2mmの長さのキチン化した器官で、筋肉を付属した移送ポンプと輸精管、厚い層状の構造を持つ強靭な囲周膜、内部ポンプ、把握器、射精管等から構成され複雑な構造を持つ。これに対して雌の受精嚢とそれに附属する腺状器官が対応している。
 交尾器の先端部を正常な形で突出させるためには、交尾器の外部ポンプを人為的に作動させるか、時間をかけて内部ポンプに水分が浸透するのを待つ。その結果得られたチャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、フタモンホシカメムシ、ツヤアオカメムシ、イチモンジカメムシの雄交尾器の形態は写真のようなものであった。

チャバネアオカメムシ(全長1mm)

フタモンホシカメムシ

 ツヤアオカメムシ

                              

 クサギカメムシ

 イチモンジカメムシ