ハスモンヨトウの胸部分泌腺の構造と機能


 ハスモンヨトウは畑作物や野菜栽培で最もやっかいな害虫とされている。その理由は産卵場所に定着することなく発育に伴ってかなりの距離を移動するためである。アメリカシロヒトリやスガのように集団で移動する幼虫類は吐糸腺から出した糸を認識物質として利用する。しかしハスモンヨトウは吐糸能力がほとんどなく、集団移動には別の認識物質を必要とする。 ここからは推理になるが、ハスモンヨトウの胸部第1節腹面に開口する分泌腺は時には反転突出し、分泌物を接触面に付着させる構造を持っている(Ventral reverse glund)。老熟幼虫ではこの分泌腺は首の長い花瓶のような形で、長さが4mm、黄色の液体で満たされている。開口部は線状で0.5mm周辺部は粒場の突起が密生し、分泌物を急速に拡げる構造になっている。移動する時この分泌腺からの物質が他の個体を誘導する可能性がある。


胸部第一節腹面 分泌腺の突出 SEMによる開口部の観察