擬態は適応進化? サザナミスズメの止まる場所

 魚や軟体動物の擬態と違って、蛾類の色や模様は環境に応じて変化するわけではない。しかしサザナミスズメが桜の幹に止まっているところを見ると、見事にとけ込んでいて見つけるのが難しい。自分の体色を変化させる技は生理学的に理解できるが、体色にあわせで止まる場所を決めるメカニズムを考えるのはなかなか難しい。
 樹の幹は色々な模様や色を持っており、ある種の昆虫にとってはそこが隠れ家のような役目を果たす場合もあるからである。
 有名な例としてはイギリスのオオエダシャクがあげられる。 蛾の翅模様が環境に淘汰されて適応進化した結果だと納得するには無理があるのではないか? 実際に樹幹に止まっている昆虫を注目すると、カモフラージュが有効に働くものと、かえって目立つのではないかという例は半々ではないだろうか。 言い換えれば止まる場所を選択する能力のあるものは少なく、大多数の種ではランダムに止まるのではないかと思われる。 当研究所隣の牛久自然観察の森では、蛾の成虫が風の強い日、雨の日、気温の低い日など、樹幹に止まっているのがよく見られる。何かよい解釈がないだろうか?
 私見であるが、自分の翅の色や模様を飛びながら見ることができる蛾が、前方の止まる場所をその色や模様と比較しながら似ている場所に止まるのでは? こんな仮説はいかがであろうか。

サザナミスズメ成虫 桜の幹に止まるサザナミスズメ成虫