子守をする寄生蜂−アリガタバチ

 農業生態系の中で活動している寄生蜂の仲間に、アリガタバチ(科)という一群がいる。この蜂は主として甲虫類、チョウ目幼虫に外部寄生する。家の中にすむシバンムシやキクイムシの幼虫に寄生するため、時として家屋内で大発生し、人が触れると毒液を刺し、発赤や痒みの症状を示す。そのため日本では有益な天敵というイメ−ジより、不快昆虫として知られている。一方農林業では甲虫目やチョウ目の天敵であるが、今までそれほど大きな関心は持たれていなかった。前愛媛大学教授の立川博士による総説ですべて尽くされている。しかし最近アリガタバチ科の中でScleroderma属による、カミキリ虫の生物的防除が注目されるようになってきた。農林業においてカミキリムシ類は難防除害虫であり、卵寄生蜂やコマユバチ類の寄生が知られているものの、有力な天敵とは考えられていない。ところがアリガタバチは大量飼育が可能であること、寄生能力に特徴があることなどの点で今後有力な生物的防除手段になりうると思われ始めた。
 我が国ではこの属にはクロアリガタバチがおり、スギノネアカカミキリに寄生する別種も知られている。中国では全地域に広く分布し、多くの甲虫に寄生するScleroderma nundiの増殖放飼が試みられている。注目すべきはこのアリガタバチの寄主としてマツノマダラカミキリも挙げられている点ではなかろうか。

クワノメイガ幼虫に寄生したハマキアリガタバチ蛹 アリガタバチの卵に寄生するタマゴクロバチの一種