ミノムシに寄生するハエ

 ミノムシは枯れ枝や葉を吐糸でつづり、強固な守りを固めているため寄生性昆虫からは攻撃されないように思われている。しかし、どの虫にも弱点はあり、寄生者はすきを狙っている。小型の寄生バエはミノムシの幼虫が餌を採るときに蓑から頭と首をわずかに伸ばしたすきを見計らって飛びつき、頭盾の下部に産卵する。寄生したハエはミノムシを食い尽くすと脱出して囲蛹となり、ミノの中で安全に暮らす。1頭の幼虫から複数のハエが出現することが多いのは、産卵時の瞬間に既寄生か否か認識が出来ないためではないだろうか? 最近マスコミの記事にミノムシの減少記事を見かけることが多くなりました。減少の原因が珍しく詳しく書かれていることが多いのです。寄生バエが海外から進入し、その寄生が主な原因ということです。昆虫減少の原因が農薬のせいにされなかった稀有の例でしょう。さて風情のある昆虫とされるミノムシの絶滅防止策はあるのでしょうか?皮肉にもそれは農薬によって実現されているのです。柿の栽培ではミノムシは立派な第2級の害虫です。この虫のために薬剤散布をすることはめったにありませんが、第1級害虫であるカキノヘタムシやカキクダアザミウマの防除のため定期的な薬剤散布が行われているのです。このような薬剤はミノムシの幼虫にもある程度の効果があるのですが、賢いミノムシの幼虫は薬物を感じると直ちに摂食を停止し、何日も餌を取らずに過ごすという能力を持っています。こんなミノムシにも防御できない恐ろしい天敵がいます。それが寄生バエなのです。昔からの寄生バエの何倍もの能力を持つ新しい寄生バエの出現はミノムシにとっては絶滅の危機かもしれません。しかしカキ園でミノムシは農薬によって寄生バエから守られている為ささやかに生き続け、第2級害虫の地位を今でも保っているのです。これがミノムシ絶滅の危機を救っていることにはならないでしょうか?  ”カキ園のあるところ、ミノムシあり”

ミノムシの幼虫 幼虫に寄生した寄生バエの蛹