スダジイタマバチの謎

 スダジイは暖地性の常緑樹である。沖縄から関東地方まで広く分布し、日本固有の里山の景観には欠かせない重要種の一つとなっている。この樹を利用する昆虫はたくさんいるが、枝の枯死に至る被害を与えるものは存在しなかった。1997年茨城県霞ヶ浦町(現かすみがうら市)下軽部の長福寺にある銘木とされる高さ15m、樹齢約700年のスダジイの枝に異常枯損が見られ、多数の虫こぶの存在が確認された。5月にこの虫こぶからタマバチの一種が多数羽化し、同時にコガネコバチ類の羽化も認められた。京都府立大学の阿部氏によりこのタマバチはクリタマバチと同属のDryocosmus sp.と同定された。
 さらに調査を継続した結果、明野町や真壁町等のスダジイの大木に重大な被害が発生していることが認められた。スダジイは日本固有の植物であり、特に沖縄ではやんばるの森を構成する主要種である。スダジイタマバチの発生がスダジイ分布の北限で起きたことから、南進が認められるようになれば重大な関心を持つ必要があろう。同時に羽化したコガネコバチはこタマバチの寄生蜂と考えられるがさらに確認が必要である。

スダジイタマバチ脱出孔 スダジイタマバチ羽化直前
スダジイタマバチ成虫 スダジイコガネコバチ(二次寄生蜂)