土壌中に生息するカイガラ虫−キノコを食べる!チャの根にとりつく!!

 カイガラムシ類は通常緑色植物のあらゆる部分(葉、枝幹、果実)に寄生して樹液を餌にします。ところが土壌中には植物の根や有機質に頼って生きている変わり者のカイガラムシがいます。同定はすべて河合省三氏にお願いしました。

カナヤハカマカイガラムシ  Newsteadia kanayana Kawai et Takagi
 雌成虫 1.0〜l.25mm・白色・鱗状のろう物質で体側・背部とも覆われる。ハカマ状の体長とほほ同長の卵のうを持つ。脚は良く発達し歩行する 幼虫は体長0.2mmのものから見られ,卵のうを持たないこと以外は雌成虫とほほ同様である。このカイガラムシは茶園の畦間の腐敗した敷き藁,落葉中に多数生存するが,土壌中で発見されることはまれである。したがって茶樹の根を加害する可能性は少ない。9月には成雌虫および2令幼虫がかなり見られる。このカイガラ虫は茶園の敷き藁の中から発見されたので、カナヤハカマカイガラと命名されました。栄養的にはずいぶん違った成分のものを餌としているので、いろいろ面白い現象が起きます。寄主のキノコは落ち葉や腐敗した根などを利用して子実体を形成し、有機質の無機化に一役買っているのです。

ヤブコウジハカマカイガラムシ  Nipponorthezia ardisiae Kuwana
 ヤブコウジというのは落葉樹林の林床にひっそりと生きている小型の植物ですが12月頃には赤い小さな実を付けるので人目に付きやすいものです。この植物をそっと落ち葉の間から引き抜くと根に白色の縁取りのある小さな虫が付いていることがあります。カイガラムシ類は通常成虫は固着しているのですがこのヤブコウジハカマカイガラは脚が発達していて歩き回ります。 雌成虫は体長1.75〜2.5mmと変異が大きく,卵のうはほぼ体長と同じ,白色のろう状の分泌物が体側に並ぶ,通常土壌の粒子が附着するので肉眼では認めにくい。触角は3節よりなり,先端に長い刺毛がある。脚は発達し歩行する。 幼虫は1令より4令幼虫まであるものと思われる。形態はほぼ雌成虫に似るが卵のうを欠く。 卵は長さ0.25〜0.3mm 楕円形で白色。5・7・9月とも幼虫ではほぼ体長で4つのピークが見られたことから, 4令を経過して成虫となるものと推定できる。このカイガラムシは年一回の発生で8月中〜9月下旬にかけてふ化するものと思われる。検出地点の概要は次の表に示した。

チャノネコナカイガラムシ   Rhizoecus theae Kawai et Takagi
 根に寄生するカイガラ虫類としてはミカンネコナカイガラムシが有名です。それと同様に茶の細根に寄生するカイガラ虫がいます。チャノネコナカイガラムシと命名されたこのカイガラ虫はどんな役割があるのか不明です。

ジモグリコナカイガラムシ   Geococcus citrinus Kuwana
 雌成虫は体長3〜3.5mm,白色,洋梨状,脚は退化して小さく歩行せず,尾部より白色綿状の分泌物を出し,卵のうを形成して産卵する。 幼虫は0.5mm(体長)から生息が見られる。脚は発達して歩行する。 卵は白色楕円形,長さ0.4〜0.5mm。このカイガラムシは茶の細根の存在する所にはかなり深い部分(30cm)にも寄生する。  細根の分岐部分に白色綿状の分泌物と共に固着し,吸汁し,その周辺は褐変する。年1回の発生と思われる。

土壌に生息するカイガラムシの分布 カナヤハカマカイガラ(上)、
ヤブコウジハカマカイガラ(下)