タマカタカイガラの巧妙な越冬作戦

カタカイガラムシ類は3令幼虫になっても脚が退化することなく、歩行可能である。代表的なヒラタカタカイガラは世界中に分布し、日本でも暖地やガラス室内の植物には広く分布している。この虫は環境が悪くなると口針を植物組織中に残し脱皮する。その後、好きな場所に移動して定着する。ウメ類に寄生するタマカタカイガラムシでは5−6月に成熟し、卵からふ化した幼虫が歩行して2年枝や幹のくぼみなどに集団で定着し、体表からワックスを出し、体を保護する。葉が落ちる11月−12月になると体表のワックスを破り脱皮して増殖する場所に移動して集団を形成する。これは従来の移動に関する説の誤りを正した牛山欽二氏の発見である。この種のカイガラムシの移動時期についてはまだはっきりした調査は少ない。移動は脱皮を伴うのが普通であるから、11−12月に新しい場所に口針を挿入するのは未成熟成虫であろう。ウメシロカイガラムシと混生している場合が多いので生態の調査には注意を要する。

成虫と幼虫の被覆態 幼虫のコロニー拡大図
2例幼虫とウメシロカイガラムシの未成熟成虫 歩行する未成熟成虫