カナヤサヤワセンチュウの立場

作物に有害な寄生性線虫は数多いが、外部寄生性線虫が実害を与える例は少ない。チャの細根に寄生するカナヤサヤワセンチュウはその数少ない例の一つである。名前が示すようにこのセンチュウは静岡県金谷町の茶園で金子武博士によって初めて発見された。その後このセンチュウはサヤワセンチュウ属(Hemicriconemoides)に属し、一戸・中園によって新種としてH.kanayaensisと命名された。このセンチュウの大きな特徴はその増殖力の大きさ、到達密度の高さである。チャの細根を含む20gの土壌からベ−ルマン氏法で500-5000頭の成虫が分離できる。二層遠心分離法で15000頭の個体が検出された例もある。このように大量のセンチュウを養うことのできるチャの細根の機能に驚かされる。金子らによって研究されたようにチャの根の養分吸収は細根表面での直接イオン吸収による以上に共生関係を持つ内生菌根菌を介しての吸収が多いことが知られている。カナヤサヤワセンチュウはこの菌根菌の細胞内樹枝体や胞嚢から吸汁するのが本質であり、直接根を加害するものではないと推論している。菌根菌の能力(養分集積力)は高いので高密度のサヤワセンチュウを維持できるものと思われる(私見)

カナヤサヤワセンチュウ成虫 カナヤサヤワセンチュウの交尾